貴腐ワイン、英語では「Noble Rot Wine」と表現されます。「Noble」は高貴な、「Rot」は腐敗を意味する言葉で、「Botrytis cinerea(ボトリシス・シネレア)」というカビの力によって生み出される特別な極甘口のワインです。腐敗したように見えるぶどうからは想像できない、豊潤で上品かつコクのある甘さを持つワインができることから、「高貴なる腐敗」と表現されてこの名前がつきました。
貴腐ワインを造ることができるエリアは世界的にも限られた地域です。自然環境が整った特別な気象条件でなければ造ることができません。人工的に造ることができないのです。世界的に有名なのは、フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼです。いずれの地域も近くに川があり、収穫期になると午前中は川からの朝霧で湿度の高い状態が続くものの、午後からは晴れが続き乾燥した状態へと変化していきます。この特別な気象条件でしか貴腐ワインの原料となる貴腐ぶどうを造ることができないのです。
中富良野町西中にあるドメーヌレゾンの第10圃場は、まさに上記の貴腐ぶどうができる要件を備えており、2024年11月、初めて貴腐ワイン用の原料としてケルナーの収穫を行いました。